子は親の背中を見て育つ

真宗大谷派僧侶 仏教学者 大谷大学講師 1916年 – 1988年

仲野良俊先生は、前住職・戸松政憲の師匠であり、生前、何年もの間、毎月毎月、京都から矢作のお寺の住職の勉強会に来てくださり、その際には、いつも

福万寺で泊まって行かれました。

お酒が好きで、お話が面白くって、

父は、この仲野先生に大変影響を受けたと、生前よく語っていました。

 そんな仲野先生のある法話の中でのエピソードです。

 

昔、まだ子供が保育園に通っていた頃、家内が

「実は私、保育園の先生に、今度の卒園式で挨拶を頼まれているんです。

すみませんが、あなた、どういうふうに言えばいいか私の挨拶の原稿を書いて下さいませんか。」

と言うのです。

それで私は、

「何も、お前などが出しゃばって挨拶

などせんでも、誰か他の人に頼めば

いいじゃないか」

と言いましたら

「いや、それがどうしても

代わってもらえないのです。」

と言いますから、なぜかと尋ねますと、          

「実は、私あなたに内緒で、母の会の

会長をしているんです。」

それで私は、びっくりしましてね、        

「そんなエライとお方とは知らなんだ。会長様ともあろうものなら、そりゃあ、自分で考えればいいじゃないか。」

とこう言いましたら、

「意地の悪い人!」

と言うんです。

「あんた、いつも原稿書いてらっしゃるじゃありませんか。

サササーッとうまいことまとめて、

私の挨拶くらい何でもない事でしょ。だからちょっと一筆お願いします」

こう言うんです。

 それで、私は言いました。

「何でもない事なら、自分で書いたらいいじゃないか。人の仕事を何でもないとは何ごとだ。」(笑)                          

 

とまぁ、こういうわけで、私も意地が悪いもんですから、なかなかうんと言わなんだわけですが、とうとう根負けして、

二百字詰めの原稿用紙に、まあ一枚半ほど書きまして、それで家内に渡しました。

 「これをこのまま覚えて言ったらいい。いらんことを混ぜるなよ。」と。(笑)

「それをそのまんま覚えて言えば、まあ、だいたい無難な挨拶になるから。」

と言って、渡したんです。

 

それから数日後、私が寺へ帰りますと、保育園へ通っている息子が玄関先で、

ワアワア泣いておるんです。

 私は、そばへ行きまして、

「なんで泣いとるんや」と聞きましたら、

「おかあちゃんが怒る」

と言うんです。それで、

「何で叱られたんだ?」

と聞いてみると、

「わからん!」

と、こう言うんです。

本人は何もわからずに叱られて、

泣いているわけです。

 かわいそうになりましてね。

それで、わたしは家内に、

「なんで、叱ったんだ?

 何かやらかしたのか?」

と尋ねると、

「もうこんな子知らん!」

と、こう言うのです。

「こんなやつ!」

と、激怒しとるんです。

それで、まあ、事情を聞いてみますとね、

まあ、家内が怒るのも無理はないんです。

どういうことかと言いますと、

 ちょうどその日が卒園式でして、

家内は一生懸命覚えた例の挨拶をする日です。

 

順番がまわってきまして、

「次に母の会の会長さんから皆様に

お祝いのお言葉を頂戴いたします」

と紹介されて、壇上に上がったんですが、

突然、後ろの方にいたうちの息子が、

ちょこっと立ち上って、指をさして、

大きな声で言ったんだそうです

「あれはオレんとこの母ちゃんだぞ!」

と、それで、そのあとが悪いんですよ。

「これから、お父ちゃんに書いてもろて、覚えたことをしゃべるんだぞ!」(笑)

さぁえらいことになりました。(笑)

今からお父ちゃんに書いてもらって覚えたことをしゃべるんだ。

とネタをバラされたもんですから、

 

母親は、そうでなくても、人さまの前で、あまりしゃべったことがないわけで、

緊張して、ドキドキして出てきたとたんに、やられたもんですからね。

もう顔がカーッとなって、

頭がポーッとなったそうです。

 で、初めの方は、

何のことやら、

さっぱりわからず。

まん中は

むちゃくちゃで、

あとの方は、

どこやらへ

飛んでしまった

というようなわけで、

もう何を言っておるのか

さっぱりわからんように

なったんだそうです。

 

それで、まあ、真っ赤な顔して、                 

「みなさん、おめでとうございます」

と、ようやくそれだけ言って、

大恥かいてさがってきたわけです。

それをおこっているんです。

いらんことを言った、というわけです。何が正しいやら、何が悪いやら

はっきりせんのが凡夫の有り様です。

 

でも、考えてみたら親もいいかげんなものだと思います。ちょっと自分の都合が悪くなりますと、とたんに腹を立てるのです。

と申しますのも、我が家は、あまり、りっぱな家庭教育をする力もありませんが、私は、ウソをついたときは非常に怒ります。

「正直にしなさい、正直にしなさい。」

と言ってきたんですね。

家内も「正直は一生の宝」とか

「ウソつきは盗人のはじまり」とか

言ってきたんです。

だから、今回も息子は、けっしてウソを言ったわけではございません。(笑)。

ひじょうに正直に言ったわけです。

だから本当なら、ほめなければならんわけですが・・・

 

 そこらが大人の本音と建前。

ウソをついてはいけません!というのはあくまで建前。

ウソをついてはいけないが、

どんな時も正直というのは

そういう正直は、上に「バカ」がつくの!

 

自分の都合しだいで、善になったり、

悪になったり

何が正しいやら、何が悪いやら

はっきりせんのが凡夫の有り様です。

 

 そして、そういう私を照らし出してくださるのが、念仏なのです。

「ああ、またいい加減な私がいたな!」

と気づかせてもらうのです。


今後の行事マスクをお持ちください

日/曜日 時間 内容 備考
2021年(令和3年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
10月 12日(火) 中止午前10時 永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 中止落語:三遊亭兼好
中止俗曲:桧山うめ吉
27日(水) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(金) 午後1時 開基・中興法要 法話:戸松 憲仁 住職
12月 9日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
12日(日) 午後1時 成道会 法話:織田 慶雄 師
2022年(令和4年)
1月 12日(水) 午後1時 修正会 法話:堀田 護 師
24日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2月 11日(金) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(土) 午前9時半/午後1時 報恩講 法話:亀井 鉱 師
13日(日) 午前9時半/午後1時 報恩講  
3月 12日(土) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(火) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(木) 午後1時 定例・奉賛会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(日) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(月) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(火) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(金) 午後1時 定例・奉賛会 法話:青木 馨 師
13日(土) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(日) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(月) 午後1時 定例・奉賛会 法話:梛野 明仁 師