唄を忘れた金糸雀(かなりや)  西(さい)条(じょう)八(や)十(そ)

 

唄を忘れた金糸雀は、

後の山に棄(す)てましよか。

いえ、いえ、それはなりませぬ。

 

唄を忘れた金糸雀は、

背戸(せど)の小(こ)薮(やぶ)に埋(い)けましよか。

いえ、いえ、それもなりませぬ。

 

唄を忘れた金糸雀は、

柳の鞭(むち)でぶちましよか。

いえ、いえ、それはかはいさう。

 

 

唄を忘れた金糸雀は

象牙(ぞうげ)の船に銀の櫂(かい)

月夜の海に浮べれば

忘れた唄をおもいだす

 

現代は役に立つ人間は必要だけど、役に立たない奴は邪魔だという世の中…

唄を忘れた金糸雀は価値がないのでしょうか。詩人の西条八十は言います。

「いえ、いえ、そんなことはありません」

 唄を忘れた金糸雀だって、象牙(ぞうげ)の船に乗せて、銀の櫂(かい)を持たせて、そして月夜の海に浮かべれば、忘れていた唄をちゃんと思い出すのです。

 

同じように、大事なことを忘れて生きている私たちも阿弥陀さまの船に乗せてもらい、お念仏をいただけば、難度(なんど)海(かい)と言われる渡りにくい世間を、何とか渡っていけるのです。

お念仏をいただいて娑婆の大海に浮かべれば、忘れていた大事なことを思い出すのです。

その大事なことというのは「一如」ということです。つまり「一つになってゆく世界」です。

私たちは、いつも自と他を分けて、

対立の世界を作っている。

いつも、他を悪者にして、自分をいい者にしている。

いついかなる時も自分をひいきして、

自分を肯定している自分が仏の光に照らされて、

「ああ、また対立の世界を生きていたな!」

「ああ、また比べて競争していたな!」と気づかせてもらうのがお念仏です。

 

 西条八十のお母さんの徳子さんは、

七十二歳でお亡くなりになっていますが、五十二歳の頃から目が不自由でした。そのお母さんがたった一人、家で留守番をされていたある日、八十がお母さんの部屋を訪ねていくという詩があります。

 

母の部屋     西条八十

 

ごめん下(くだ)さい、お母(かあ)さん、

久(ひさし)潤(ぶり)であなたのお部屋に入ります。

けふは妻も子供たちも女中も、

皆(みな)出(で)かけて、

あなたと僕だけが留(る)守(す)居(ゐ)です。

お眼のわるいあなたは

桜のちる春の午後も

木(みみ)兎(づく)のやうに

炬燵(こたつ)にかがまってゐらっしやる。

お母さん、

なにもかも変りましたが

あなたのお部屋だけはもとの儘(まま)ですね。

死んだお父さんの油絵も、

黒く光った用(よう)箪笥(だんす)も、

桃花心木(まほがにい)の和蘭(オランダ)時計も

みんな僕(ぼく)が幼い日親(した)しんだものです、

さうしてあなたはそれら古いものの中で

終日(しゅうじつ)昔(むかし)のことを

じっと回想(かいそう)してゐらっしやる。

お母さん、春の日が翳(かげ)りましたよ、

 かう一尺(いっしゃく)も離(はな)れぬところに坐(すわ)って、

  あなたのお顔を眺(なが)めるのは

ほんたうに久(ひさし)潤(ぶり)です、

  妻や、子供や、

新しい家庭の侵入者(しんにゅうしゃ)等(ら)のために

  僕等(ぼくら)は永(なが)くかうした機(き)を

奪(うば)はれてゐました。

  こんなに黄(きい)ろい汚点(しみ)のあるのが

あなたのお手でしたか、

  お母さん、あなたはいつから

その眼鏡(めがね)を掛(か)けたのですか。

  さうしてなんといふ

白髪(しらが)の薄(うす)くなりやう、

                  

 そういう目の不自由なお母さんの部屋に入って、この詩をつくられました。

この時、八十はお母さんと同じように眼が不自由になった自分になってみたのでしょう。

目の見えぬお母さんと「一つになってゆく世界」「一如」の世界を感じます。

 

そして、その後できあがったお母さんの心を読んだ歌が、

「母さんお肩をたたきましょう

タントン タントン 

タントントン……」

という世界に続いていくのです。

 

肩たたき

         作詞 西條八十

         作曲 中山晋平

 

 母さん お肩をたたきましょう

 タントン タントン 

タントントン

 

 母さん 白髪がありますね

 タントン タントン 

タントントン

 

 お縁側には日がいっぱい

 タントン タントン 

タントントン

 

 真っ赤なけしが笑ってる

 タントン タントン 

タントントン

 

 母さん そんなにいい気もち

 タントン タントン

タントントン


今後の行事マスクをお持ちください

日/曜日 時間 内容 備考
2021年(令和3年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
10月 12日(火) 中止午前10時 永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 中止落語:三遊亭兼好
中止俗曲:桧山うめ吉
27日(水) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(金) 午後1時 開基・中興法要 法話:戸松 憲仁 住職
12月 9日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
12日(日) 午後1時 成道会 法話:織田 慶雄 師
2022年(令和4年)
1月 12日(水) 午後1時 修正会 法話:堀田 護 師
24日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2月 11日(金) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(土) 午前9時半/午後1時 報恩講 法話:亀井 鉱 師
13日(日) 午前9時半/午後1時 報恩講  
3月 12日(土) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(火) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(木) 午後1時 定例・奉賛会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(日) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(月) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(火) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(金) 午後1時 定例・奉賛会 法話:青木 馨 師
13日(土) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(日) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(月) 午後1時 定例・奉賛会 法話:梛野 明仁 師