昔「アンタッチャブル」というテレビドラマがありました。

1987年には映画にもなりました。

1930年代禁酒法が施行されていた頃のアメリカ・シカゴが舞台で、アル・カポネをボスとする犯罪組織は酒の密造とカナダからの密輸により莫大な利益をあげていた。

テレビドラマでは、アル・カポネが逮捕されるシーンから…

続いてナレーションが入ります。

「見送る人々の中には、カポネ逮捕の直接の功労者エリオット・ネスとその部下たちがいた彼らこそ当時の腐敗を極めた警官たちの中にあって絶対に買収の手が及ばないところから、アンタッチャブルすなわち、汚されざる者たちの名で呼ばれたFBI特別捜査班の面々である」

地元の警察や裁判所を買収している

ギャングたちが市民への殺人も厭わない状況に、政府はシカゴへ財務省の エリオット・ネスを派遣する。

 

この噺は実話がもとになっています。

エリオット・ネスもアル・カポネも実在の人物です。エリオット・ネスは捜査官を退任したあと、多数の企業から誘いがあって、いくつかの会社で働きましたが、どこも長くは続きませんでした。

 それは、なぜかというと、彼はどんな小さなことでも、人の間違いや不正を許すことが出来なかったからです。

次第にどこへ行っても(うと)まれ、最後には酒におぼれて、安酒場で毎日酒を飲みながら、昔の話をしていました。その昔話が「アンタッチャブル」の原作になったらしいのです。

 エリオット・ネスのようにいつも正しくあろうと努めることは大事なことだと思います。しかし寛容さがなければ、人を遠ざけることになってしまいます。

 私たちは皆、間違いをただされるのをあまり好みません。自分の立場を理解して欲しい、敬意を払って欲しいと皆思っています。話を聞いて理解してもらいたいというのは人間の最大の願望の一つです。人の話をじっくり聞く人はもっとも愛され、尊敬されます。

相手をただしてばかりいる人は、顰蹙(ひんしゅく)を買い、疎まれるようになっていきます。

仏教を護る神として阿修羅がいます。

一般的には怒りの化身と思われていますが、本来は正義の神だったのです。

阿修羅は正義にこだわり、他者を糾弾し続けて、ついに神々の世界から追放され、魔類となってしまったのです。

仏教のものの考え方がここにあります。

「正しいからといって、それにこだわってはならない」

私たちが正義にこだわり、怒りに燃える時、それは阿修羅の正義となるのです。

お釈迦さまは、「執着を離れよ」と説かれます。私たちが一番執着するのは、「我」です。正義も「我」を中心とした正義では、ダメなのです。

我執を離れた慈愛に満ちた正義でなくてはなりません。

慈愛に満ちた正義とは、

「オレも偉そうなことは言えんけど…」

という精神です。そういう意味の漢字が(ひそか)という字です。

矢作の「竊子(ひそこ)神社」の「竊」です。

「竊」という字は、今では「窃」と書きます。「窃盗」の「窃」です。

「窃盗」の「窃」も「盗」も「ぬすむ」という意味をもった字ですが、

どう使い分けるのかというと、

「盗」は「強盗」というように無理やり盗んでくる、力ずくで盗んでくるような時に使います。

「窃」は、「ひそか」ですから、こっそり盗んでくるような時に使います。

世間では、あまりいい意味の字ではありませんが、親鸞聖人はこの字をとても

大事にしておられ、

「竊におもんみれば…」

「竊に愚案をめぐらして…」

と、「教行信証」や「歎異抄」の冒頭にも使われています。

つまり、「私のような愚かな者が偉そうなことは言えませんが、今から申し述べることは、とても大事なことですので、仏さまのお心を、そっといただいて、申し上げさせていただきます」

「仏さまのお心を、そっとぬすむ。」

「仏さまのお心をそっといただく」

「仏さまのお言葉を、そっとお借りする」

というような謙虚な姿勢なのです。「自是他非」「自らを是とし、他を非とする」いつも自分は正しく、相手がまちがっていると自分を贔屓目に見る私たちに警鐘を鳴らしているようにも思えます。

 


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
24日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
10日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
20日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(土) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(月) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(木) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(土) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(日) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(火) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(木) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(金) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師