お手紙の最後に「御自愛ください」と書かれていることがあります。

「御自愛ください」…ということは…

「ご自身の体を大切にしてください」という意味で使われますが…

もう少し簡単に読めば…

「自分を愛して下さい」ということです。

自分を愛す?

そういうのはエゴイストだと思われるかもしれませんが…

本当に自分を愛するということは、どういうことか…

仏伝にこんな話が伝えられています。

 

それは、お釈迦さまご在世当時…

コーサラ国の舎衛城に…

国王であるパセナディ王とその正妻マリッカ王妃が宮殿の庭を散歩しながら

王が妃にこんなことを尋ねた…

妃(きさき)よ、そなたは、この世において、誰を一番愛しておるか?」

…しばらく考え込んで妃は、答える…

「まことに、申し訳ありませんが、私は、私を一番愛しております。妻ならば夫を一番愛さなければならぬのは、重々わかっています…

でも、心の奥底では、私は私が一番可愛いのです。」

と正直に打ち明けた…

 

それを聞いて、とまどう王に、

今度は妃が尋ねます…

「それでは、王さまは、この世でどなたを一番愛しておられますか?」

…すると、しばらく考え込んだ王は、

「…言われてみれば、私も他の誰より自分がかわいい…

妻であるそなたや

私の子どもたちが一番かわいいとか、国王ならば、国王らしく国民が一番かわいいとか…そう思わなくてはならないのだろうが…恥ずかしながら、それより、もっともっと、私は私がかわいいのだ。」

と打ち明けた…

王様もお妃さまも、お二人とも敬虔(けいけん)な仏教徒で、普段からお釈迦さまの教えをよく聞いておられましたから、祇園精舎におられるお釈迦様にそのことを相談しました…

するとお釈迦さまは、こう仰った…

「あなた方もそうですか!

実は私も私が一番可愛いのです……

だからこそ、他の者を愛するのです。」 

…と…

さて、ここでいう他の者

これを曇鸞(どんらん)大師(だいし)は他(た)己(こ)と名づけました。

のように見えている自己のことです。

 

つまり、私は私が一番可愛いけれど、本当の意味で自分を可愛がるには、

を可愛がらなくては

を可愛がったことにならない…

ということです。

他己とは、一番可愛いこの私を支えていてくれる大地であり、根っこです。  

大地がなければ、生きてはいけません。

根っこがなければ花も咲きません。

他がなければ自はないのです…

そうして考えてみると他も私なのです。他のように見えているけれど、本当は自己だということです。

現代は、自分を可愛いがるばかりで、他己を大切にしない。でも、そんなことでは、結局最後は自分が困るのです。

 

…これは前住職のお説経の一説です…

何か、現在の世界のあり方を言い当てているみたいですね。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
24日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
10日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
20日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(土) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(月) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(木) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(土) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(日) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(火) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(木) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(金) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師