彼岸とは、三月の春分の日と九月の秋分の日をお彼岸の「お中日(ちゅうにち)」と呼び、その前後三日の合計七日間(一年で2回ありますので計十四日間)のことです。

七日間の最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」と呼びます。

 

ちなみに、お彼岸の時、昔からよく

「ぼたもち」や「おはぎ」をお供えしますが…「ぼたもち」と「おはぎ」は、

呼び方は違うけれど同じものなんですってね。

…私は、ひそかに餅を「あんこ」で包んだ黒っぽいのがの「ぼたもち」で、

餅の中に「あんこ」を入れて、表面に

きな粉をまぶした餅が「おはぎ」かな?と思っていました。そうではなくて…

春の彼岸の頃に咲く牡丹(ぼたん)から →

「牡(ぼ)丹(たん)餅(もち)」→「ぼたもち」

また秋の彼岸の頃に咲く

萩(はぎ)から→「お萩」

→「おはぎ」に

なったんだそうです。

ところで、皆さんは彼岸の最後の日を「はしりくち」と呼ぶことを知っていますか?

 

日本では季節を表す言葉に「寒の入り」・「寒の明け」・

 「梅雨入り」・「梅雨明け」と言うように「入り」と「明け」が対句として多く用いられます。

 最近のカレンダーや手帳には「彼岸明け」と書かれていますが、昔は「はしりくち」と言っていました。

 

 ○なぜ「明け」ではないのか? 

 

そもそも「彼岸」という言葉は彼方(かなた)の岸・彼(か)の岸、つまり川の向こう岸ということで、「さとりの世界」を意味します。それに対して私たちのいる迷いの世界を「此(し)岸(がん)」といいます。

 

それで「彼岸」の本来の意味は「仏法の教え」という舟に乗り、悟りの彼の岸に到達するという意味です。

 

  私たちは、彼岸に到達しようと川を渡っている真っ最中なのです。

まだ、船をこぎだしていない人もいます。

みんな煩悩を抱え、まだゴールしていませんから、その意味で「明け」ということはないのです。

 

  彼岸の最後の日を「はしりくち」というのは、「走り口」つまり、スタートラインに着きましたよ。という意味と

して考えてみると、「お彼岸」に人生の船をさとりの岸の方向に向け、自分の生き方を再出発させることが本当の「お彼岸」の意味なんだと思います。

 

また「彼岸」という言葉は古代インドの言葉…サンスクリット語で「パーラミター」を訳した「到彼岸」を略したもので、それを音写(発音を漢字で表した)したものが「波羅密多(はらみた)」です。

「波羅密多」と聞くと、すぐに頭に浮かびますのは、あの「般若心経」です。

「般若心経」というのは、もともと

「摩(ま)訶(か)般(はん)若(にゃ)波(は)羅(ら)密(み)多(た)心(しん)経(きょう)」の略で

 

「摩訶」は「大きい」ということ

「般若」とは「智慧」のことですから

大きな智慧に導かれて彼岸に到ることが般若波羅密多ということで、我々が 彼岸に至ることが説かれたお経です。

 そのためには、

  • 布施(執着なき施しをすること)
  • 持戒(戒律を守ること)
  • 忍辱(堪え忍ぶこと)
  • 精進(努力し実践すること)
  • 禅定(心を心を集中させること)
  • 智慧(諸法に通達する智と断惑証理     

する慧を開くこと。)

の六つの方法があるので「六(ろく)波(は)羅(ら)密(みつ)」といいます。

 

 ちなみに、「六波羅密」の①の布施を

「檀(だん)那(な)波(は)羅(ら)蜜(みつ)」といい、これを略して

「檀(だん)波(は)羅(ら)蜜(みつ)」といいます。

インドの言葉では「ダーナ・パーラミター」といい…

「ダーナ」は「施す」という意味で、

「布施」のことこのダーナを音写して「檀那」又は「旦那」となります。

 

…だから、もともと「旦那さん」というのは、「ダーナさん」…つまり「施す人」という意味なんですね。

だから、昔は、一家の主は、「旦那さん」と呼ばれたものです。お父さんは、表で仕事をして稼いで、女房・子供を養いますから…「施す人」=「ダーナ」=「旦那さん」だったんですね。この頃は、

「ウチの旦那、こないだリストラになっちゃって…」なんて、軽々しい「ダンナ」の使い方をするけれど…

 

そして、「パーラミター」は先ほども申しましたように「彼岸に到達する」という意味で、つまり、人に施すことによって彼岸に至るということです。

 

ちなみのちなみに…あのお色気芸能人の檀(だん)蜜(みつ)さんの芸名は、この「檀(だん)波(は)羅(ら)蜜(みつ)」からとった

らしいのです…

壇蜜さんは、

本名を齋藤支靜加

(さいとう しずか)

というんだそうですが…

彼女は、調理師免許を持っていたり、

日本舞踊の名取の免状をもっていたり、

英語の教員免許をもっていたり、

また、仕事も和菓子工房に務めていたり

バイトで銀座クラブに勤めたことがあったり、と多彩な方なんですが、

葬儀会社に勤めていたことがあって、

そのときに「檀波羅蜜」ということを聞いて、「檀波羅蜜」の最初の「檀」と最後の「蜜」をとって「檀蜜」と名付けたんだそうです

 人様にお色気を施して、彼岸に至ろうと考えたのかどうかは、わかりませんけど…(笑)

 

 このように「彼岸」とは「到彼岸の道」つまり仏道修行のことで、春秋の彼岸会は、仏道修行を奨励(しょうれい)する法要なのです。

 

 しかし、私たちの真宗は修行をして自分で悟りを開くという教えではなく、

すでに阿弥陀さまの慈悲の中にあることに気づき、慶ばせていただく教えです。

 ですから真宗の彼岸は、亡くなられた人のために墓にお参りする期間ではなく、亡くなられた方をご縁として、この私が教えを聞かせていただくことです。

 

「亡き人を偲びつつ、

如来のみ教えに

遇いたてまつる」 なのです。

 お彼岸の本来の意味を知り、間違わないようにしたいものです。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
24日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
10日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
20日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(土) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(月) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(木) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(土) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(日) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(火) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(木) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(金) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師