まずは、色っぽい所から…

逢えば笑うて 別れにゃ泣いて 

うわさ聞いては 腹立てる

 

他人の空似と わかった背へ 

未練がついてく 五歩六歩

 

おまえ正宗 わしゃ錆び刀 

おまえ切れても わしゃ切れぬ

 

主は今ごろ さめてか寝てか 

思い出してか 忘れてか

 

川竹ながらも 節あるわたし 

金で操を 買えはせぬ 

 

丁とはらんせ もし半でたら 

わしを売らんせ 吉原へ

 

いろの恋のと さてやかましい 

人のせぬ事 するじゃなし

 

笑うて悲しい 座敷をぬけて 

泣いてうれしい 主のそば

お名は申さぬ 一座の中に 

いのちあげたい 方がある

 

顔見りゃ苦労を 忘れるような 

人がありゃこそ 苦労する

 

宵に時計を 進めた罪に 

けさは別れが 早くなる

 

いかがです? 

粋でしょ。 

こんなのもありますよ…

 

 

「四季有情」

咲いた花なら 散らねばならぬ 

恨むまいぞえ 小夜嵐 

 

露のなさけを ただ身にうけて 

恋の闇路を とぶ蛍

 

軒の雫に 秋風しみて 

あわれもよおす 雁の声

 

雪の庭口 誰が踏み分けて 

二の字くずしの 下駄の跡

 

 いかがです? 味わい深いでしょ。

「俗曲」の一種であります、都々逸は、度々逸とも書きますが…

 

《名古屋節》の囃し詞〈ドドイツドイドイ〉から名付けられた名称といいます。

 1800年名古屋の熱田神宮の門前、

神戸(ごうど)町の宿屋に私娼を置くことが許され、そこの女達を〈おかめ〉と呼びました。

 

遊客の間でよく歌われたのが

 

「おかめ買う奴 あたまで知れる 油つけずの 二つ折り」 

 

〈そいつはどいつだ ドドイツドイドイ 浮世はサクサク〉

 

と調子のよい囃し詞がつけられた歌で、神戸節(ごうどぶし)と呼ばれました。

 

この歌は(1764―72)頃江戸で流行していた潮来節(いたこぶし)に似た曲調で、まもなく地元では廃れましたが、

江戸や上方に流れて「名古屋節」と呼ばれていたそうです。

 

 1838年江戸の寄席音曲師だった都々逸坊扇歌が、〈どどいつ節〉を大成し、旗揚げしてから〈どどいつ〉の名称でもてはやされるようになりました。

 

 七・七・七・五調 つまり、四句・二十六文字の詞型が基本で、新たにいろんな歌詞が作られました。

 

一般庶民の人情の機微を歌うものが多かったことから,庶民に大変好まれ、大きな支持を受けました。

 

酒席での座興に歌われることが多く、

本調子が正形で、二上りで歌うこともあり、〈字あまり〉〈文句入り〉などの種類もあります。

 

なにがなんでも 添わねばならぬ 

添うて苦労が してみたい

 

庭に散り敷く 松葉を見ても 

二人に添う日が あるのやら

 

この二つの歌の間には百五十年の時の流れがあります。

 

 平成の世になってもやっぱり流行している歌は、ラブ・ソングばかりのように…いつの時代も男と女の仲はあまり変わらないようです。

でも、たくましいもので…

「勤めする身のかなわぬ夢」が

「浴衣二枚が物干し竿に」並ぶと

所帯(世帯)という場も、唄になります。

のちの現代家庭都々逸へつながるのです。

 

苦労しとげた 嬉しい息を 

火吹竹から 吹いて出す

 

夫婦喧嘩は 三日の月よ 

一夜ひと夜に 円くなる

 

短歌にも近づくことができるし、俳句・川柳の境地を歌うこともできる都都逸の幅の広さの中に、よりストレートで、

ものおじしない開放的な笑いもあります。そういう飾らない洒落やおどけも、都々逸の魅力の一つです。

 

 こんなのもあります。

 

鳴らすおならの 七つの音いろ 

長く続かず 中身でる

 

主は二十一 わたしは十九

四十仲良く 暮らしたい

 

まさかそれとも  言い出しかねて

娘伏し目で 赤い顔

卑猥な句のことを「ばれ」といいます。

「破礼句」とも当てて書きます。

どどいつのばれ句には、結び句の五文字でほこ先をそらす、一種の謎落ちが定石で、唄い終わって喝采が来るのはそこのところで、歌い手と聞き手のうしろめたさの解放でもあるのだと思います。

 

二人手をとり 静かに乗りな

行くも行かぬも 竿次第

 

ゆうべしたのが 今朝まで痛い

二度とするまい 箱枕

 

……お粗末さまでした。

それでは、本日うめ吉さんの俗曲をお楽しみください!

 

(中道風迅洞著・風迅洞私選どどいつ万葉集より)


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
4月 12日(金) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
30日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
5月 12日(日) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
27日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
6月 12日(水) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
21日(金) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
7月 11日(木) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(金) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
29日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
8月 12日(月) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(火) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(木) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師