都々逸を「いろは」にのせて

 

い 嫌なお方の 親切よりも 好いたお方の 無理が良い

 論より証拠を とられて泣いて 言い訳するとは 馬鹿らしい

 二十(はたち)花嫁姑が嵐 三十葉桜(はざくら) 主(ぬし)が雨

 庭の松虫 音(ね)をとめてさえ もしや来たかと 胸さわぎ

 惚れた数から ふられた数を 引けば女房が 残るだけ

 下手な易者と わたしの恋は あわ(粟・泡)でこの世を 過ごしてる

 どこで借りたと 心も蛇の目 傘の出どこを きいてみる

 猪口々々(ちょくちょく)逢う夜を 一つにまとめ 徳利(とっくり)話が してみたい

り 利口だと思ってかゝるは お前が馬鹿よ そばの二杯も 喰ったやつ

 ぬしと私は 玉子の仲よ わたしゃ白身で きみを抱く

 留守を狙って どろばう猫が 来てはちょこちょこ 盗み食い

を 遅い帰りを かれこれ言わぬ 女房の笑顔の 気味悪さ

わ わたしゃお前に 火事場のまとい 振られながらも 熱くなる

 顔見りゃ苦労を 忘れるような 人がありゃこそ 苦労する

 洋服姿が ズボンとはまり 袖ないお前で 苦労する

 竹ならば 割って見せたい私の心 先へ届かぬ ふしあわせ

  ○三遊亭圓生「子別れ」より

れ 礼義であつき お屋しきさんは 気づくわけなく とりみだし

 添うて苦労は 覚悟だけれど 添わぬ先から この苦労

 つねりゃ紫 喰いつきゃ紅よ 色で固めた この体

 年季があけたら お前のそばへ きっと行きます 断わりに

  ○古今亭志ん生「三枚起請」より

 ながい話を つづめていへば 光源氏が 生きて死ぬ

  ※「源氏物語」も早い話がそういうこと

 落語家殺すにや 刃物は要らぬ あくび三つも あればいい

 胸にあるだけ 言わせておくれ 主の言いわけ あとで聞く

 梅もきらいよ 桜もいやよ ももとももとの 間が良い

 磯のあわびを 九つ集め ほんに苦界(九貝)の 片思い

  ※苦界とは遊女のつらい境遇のこと

 のろけどころか 今日この頃は 息がかよって いるばかり

 男が好くような 男でなけりゃァ 粋な年増は 惚れやせぬ

  ○三遊亭圓生「近江八景」より

 苦労する身は 何いとわねど 苦労し甲斐の あるように

 山のあけびは 何見てひらく 下の松茸 見てひらく 

 ままにならぬと おひつを投げた あたり近所が ままだらけ

け けんかしたとき この子をごらん 仲のよいとき 出来た子だ

 富士の山ほど 苦労はするが 元は一夜の 出来心

  ○三遊亭金馬「居酒屋」より

 叱(こ)言(ごと)聞くときゃ 頭をお下げ 下げりゃ意見が 通りこす

  ○三遊亭圓生「不孝者」より

 縁は異なもの さて、あじなもの 独活(うど)が刺身の つま(妻)になる

  ○三遊亭圓生「たらちね」より

 欄干(てすり)にもたれて 化粧の水を どこに捨てよか 虫の声

 赤い顔して お酒を飲んで 今朝の勘定で 青くなる

 鷺(さぎ)を烏(からす)と 言うたが無理か 場合じゃ亭主を 兄と言う

  ○三遊亭圓生「妾馬」より

 君は吉野の 千本桜 色香よけれど きが多い

 雪がつもれば 思ひもつもる きみの足跡 待つほどに

 妾(めかけ)という字を 分析すれば 家に波風 立つ女 

 三日月は痩せるはずだよ ありゃ病み〔闇〕あがり それにさからう 時鳥(ほととぎす)

  ○三遊亭圓生「妾馬」より

 四国西国 島々までも 都々ア恋路の 橋渡し

  ○春風亭柳橋「天災」より

ゑ 縁がありやこそ 高峯の桜 折って手いけの 花にする

 一人でさしたる 唐傘なれば 片袖濡れよう 筈がない

 もしもこのまま こがれて死ねば 怖くないよに 化けて出る

 千両万両の 金には惚れぬ お前一人に わしゃ惚れた

 炭をつぎつぎ 火ばしを筆に あつい男の かしらもじ

 

 都々逸は、落語の中にもたびたび出てまいります。

 

○頭はられて 痛くはあれど 笑って居られりや 気が楽だ

○借りたものなら 寒くはあれど 脱いで返せば 気が楽だ

○己(おの)が稼業を 精出す人は 骨が折れても 気が楽だ

 ※春風亭柳橋「天災」より

○落語・俗曲 自分じゃやれぬ 人にまかせりゃ 気が楽だ

○浄土往生も 自分じゃ行けぬ 弥陀にまかせりゃ 気が楽だ

 ※福万寺住職 作

 

……お粗末! 三亀松! わしゃ戸松!

それでは、うめ吉さんの俗曲をたっぷり

お楽しみに!


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
4月 12日(金) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
30日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
5月 12日(日) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
27日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
6月 12日(水) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
21日(金) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
7月 11日(木) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(金) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
29日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
8月 12日(月) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(火) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(木) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師