マリコの部屋へ電話をかけて

男と遊んでる芝居

続けてきたけれど…

 

昔、中島みゆきの「悪女」という歌が流行りましたが…

「悪女」という言葉の響きは、何かしら

どこか「魅力」のある響きで、

「悪女」と聞くと、なぜか「いい女」…

つまり「美人」を思い描いてしまうのは私だけでしょうか?

…男を狂わす、怪しくも美しい女…

 

 そういえば、そういう男をだます悪女がたくさんいたのが、昔の遊郭(ゆうかく)…

江戸(東京)の遊廓には「廻(まわ)し」という習慣があったそうで、「廻し」というのは、一人の花魁(おいらん)が、一晩のうちに何人ものお客を相手にする…つまり、お客の部屋を廻るわけです。ところが、中には、お金は払ったにもかかわらず、フラれた客もあったようで…

いつまで待っても女が来ない!

「廻し部屋」に置き去りにされた男たちが、いろいろボヤく様子が面白い

「五人廻し」という落語の中の名台詞(めいぜりふ)

傾(けい)城(せい)傾(けい)国(こく)に罪(とが)なし、通(かよ)いたもう客人(まろうど)にこそ罪(とが)あり…なぞとは、吉田の兼好坊も乙(おつ)ゥひねりやしたね」

ここでいう「傾(けい)城(せい)」というのは、花魁(おいらん)のことで、つまり、だました遊女に罪はない、それが彼女たちの仕事なんだから、

それを承知で通ってくるのに、フラれて腹を立てる客の方が悪い…というような意味でしょうか?

 

こんな川柳もあります…

「傾城の 涙で蔵の 屋根が漏り」

男は女の涙に弱い!今日も明日もと

吉原通い、そうそう金が続く筈はない。

 

…しかし「傾(けい)城(せい)」とは、もとを正せば中国では、美人に対する最高の褒め言葉なのだそうです。

「傾城の美女」「傾国の美女」といって、その美しさゆえに、一国の王でさえ迷い、その女に貢ぎ、女の言うことを何でも聞き、そのうちに城が傾き、ついには国を滅ぼすほどの美人という意味なんだそうです。

その傾城・傾国の代表が世界三大美女の一人、中国の楊(よう)貴(き)妃(ひ)で、詩人の白楽天が彼女の美しさを歌ったのが、かの有名な「長(ちょう)恨(ごん)歌(か)」です。

漢文ですと、難しいので、現代語に訳しますと、こんな感じの歌です。

 

漢の玄(げん)宗(そう)皇(こう)帝(てい)は非常な面食(めんく)いで、長年美女を探し求めていましたが、お気に召す美女に巡り合うことができません。

そんなある日、楊(よう)家の娘に出会ったのです。この娘が、非の打ちどころのない絶世の美女…

皇帝に見(み)初(そ)められた楊貴妃は、お側(そば)に仕えることになりました。

しかし、その美しいことと言ったら…

やわらかな髪、花のような顔、

歩くたびに揺れる金のかんざし…

二人は、芙蓉(ふよう)の模様の

とばり(カーテン)の内で、

しとね(寝具)を交わす

春の宵…

 

王さまは、もうメロメロ…   とばり

「お前のためならなんだってスルー!」

 

それ以来、王さまは彼女の言いなり、政治なんかほっぽり出して、言われるがままに彼女の縁者を次々と高位に取りたて、国は乱れに乱れ…国民の怒りは頂点に達する。ついには、安史(あんし)の乱(らん)を引き起こすこととなったと伝えられます。

 

それ以降、楊貴妃のことを傾城・傾国の美女と呼ぶんだそうです。

いつの時代も、美しい花にはトゲがあるといいますが、美女は怖い…

くわばらくわばら…

 

桑原和男

何かご用?

 

…さて、ここで話は変わり、仏教では、こういう美女をどう見るか?というと、弥陀の本願(四十八願)の第三・第四番にお浄土には美しい、醜(みにく)いというような差別はありません。みんな金色に光り輝くのだと誓われています。

 

世間では、いつの時代も、肌の色とか、その容姿で優劣をつけたがります。

美人・不美人、イケメン・ブサメンなど

 

…特に最近はその傾向がますます強くなってきたようで、「インスタ映え」とか言って、なんにでも見た目の良さを求めます。食べ物でも味より見た目!

旅行も写真写りがいい所がウケているようです。

 

そんな今の世相を

嘲笑ったこんな回文があります。

(上から読んでも下から読んでも同じ)

 

「ヨノナカネ、カオカ、オカネカナノヨ」

つまり「世の中ね、顔かお金かなのよ」

 

しかし、仏さまの眼から見れば、

美人も不美人もイケメンもブサメンも何の違いもないのです。

私たちが、アリを見ても、どれも同じで、見分けがつかないように、仏さまの眼から見れば、みんなドングリの背比べ、少々背が高かろうが低かろうが、鼻が高かろうが低かろうが、ただの凡夫です。

 

肌の色とか容姿とか小さな価値観に縛られた哀れな凡夫なのです。

その小さな価値観で、人を差別し、

人間が人間をあざ笑ったり、蔑(さげす)んだり、そういう人間の持つ差別性を

「まちがっているぞ」と呼びかけているのです。

他人事ではありません。

知らず知らずのうちに、人を見かけで

判断し、差別している自分がいることに気づいてください!

そして「スマン」と頭の下がる人になって下さい!と願われているのです。

 

「限りある人生」を「同じ時」「同じ場所」で生きる、私たちはみんな「いのち」の仲間なのです。

小さな価値観から離れ、大きな世界に目が開かれたとき「いのち」が輝くのです。

 

泣いて、笑って、時にはけんかして

それが「いのち」の輝きなのです。

二度と再び戻ってこない、一瞬一瞬の

出来事それが「いのち」の輝きなのです。

それがナムアミダブツなのです。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
4月 12日(金) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
30日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
5月 12日(日) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
27日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
6月 12日(水) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
21日(金) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
7月 11日(木) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(金) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
29日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
8月 12日(月) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(火) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(木) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師