誰もが知ってる『竹取物語』

意外と知らない『竹取物語』

 

 だれもが知っている日本の物語に

『竹取物語』があります。かぐや姫の話です。みなさんよくご存じだと思います。

今からだいたい千二百年ぐらい前に作られたものですが、作者は不明です。

 

 あらすじは、ある日翁(おじいさん)が竹(たけ)藪(やぶ)で光る竹を見つけます。不思議に思って切ってみると、中に三寸ばかりの女の子、

連れて帰ると、あっという間に成長し、

それはそれは美しい娘になりました。

因みにかぐや姫というのは「輝く姫」という意味だそうです。

 

美しいかぐや姫を嫁に欲しいという話が次々に舞い込みますが、いろいろな難題を持ちかけては断り続けます。

ついには、時の帝(みかど)からも求婚されます。

かぐや姫はこれにも「従うくらいなら死にます。」と言って拒絶しました。

帝はかぐや姫をただ人ではないと、連れて帰ることをあきらめ、その後、帝は

かぐや姫と手紙を取り交わすことで心を通わせるようになりました。

 

 ところがある年の春ごろから、かぐや姫は月を見ては物思いにふけるようになります。心配をしたおじいさんは、

「どうしたんだ?」と尋ねると、

「じつは私はこの地球の人間ではなく、月の住人なのです。今度の十五夜の夜には月の世界に帰らねばならないのです。」と打ち明けます。

このことを聞いた帝は、翁の家に二千の武装した兵を差し向け警護に当たらせます。

 

そして十五夜の夜になりました。

厳重な警備体制を敷いておりましたが、

深夜、あたりが急に真昼のように明るくなり空から雲に乗って月からの使者が降りてきました。

武者たちはみんな金縛りのようになって動けなくなってしまったのです。

かぐや姫は翁(おじいさん)と媼(おばあさん)そして帝(みかど)に

お別れを告げて月の世界に帰っていったのであります。

…と、こういう物語です。

非常にロマンチックで、夢のある話です。おそらくここまではみなさんも、

よくご存じのことだと思います。

 

意外と知らない『竹取物語』の続き…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、この物語には続きがあるのをご存じでしょうか。

かぐや姫が、月の世界に帰っていく時に翁と媼とそして帝にお別れの品を

贈るわけです。

Q そこで問題です。

月へ帰っていくかぐや姫はお別れのしるしに翁(おじいさん)と媼(おばあさん)には手紙と着物を贈りました。それでは帝(みかど)には、手紙とあと何を贈ったのでしょうか?

 

A それは「不老長寿の薬」です。

アンチエイジング…これは人類が今も昔も求め続けてきたもの。

その「不老・不死の薬」を帝に渡して、かぐや姫は月の世界に帰っていったのです。

 

Q ここで次の問題です。

もし、みなさんが「不老・不死の薬」

もらったらどうしますか?

 

私だったら…一人分もらったなら、

密かに自分だけ飲もうか?

でも、一人だけで長生きしてもなぁ…

いや待てよ、女房にやるか!

そうすればいつまでも若い妻が

でも、妻が若くても自分がヨボヨボになってはなぁ…

いっそのこと妻と半分っこにしようか。

それとも子どもに残してやろうか。

どうしたものか悩みます。

 

さて、帝は、どうしたか?

帝は、かぐや姫のいないこの世界で長生きしても何にもならないと、もらった「不死の薬」を天に一番近い駿河の高い山の頂上で薬を燃やしてしまいました。

のちに不死の薬を焼いた山ということで、「不死の山」と呼ばれるようになり、

これがのちに「富士の山」と呼ばれるようになりました。おしまい。

 

 これが千二百年の間、親から子へ、

子から孫へと伝えられてきた『竹取物語』というお話です。

ところが長い年月の間に、いつの間にか後半部分が削られて、前半部分だけが伝わったのです。

 でも、この『竹取物語』の大事な部分は、作者が、じつはこの後半部分じゃないのかしらん。つまり、帝が「不死の薬」を捨てたということ。それは、つまり

本当の人間の幸せは、不老長寿に非ず。

確かに若さは、素晴らしいけれど、

老いには老いの良さもある。

そして限りがあるからこそ、人生は、

素晴らしんだということが伝えたかったんじゃないかしら。なんでもそう、

終わりがあるからいいんです。

桜でも、パッと散るから美しいのです。

マラソンでも42.195キロ先にゴールがつまり、終わりがあるから走れるんです。

なんでも、終わりがあるからこそ、

精一杯尽くすことが出来るのです。

 

「不老長寿」の身には終わりがない。

終わりがなければ、一生懸命になれないんです。ゆえに空しいのです。

 私たちが「生きる」ということは、

同時に「死ぬ」ということを孕(はら)んでいます。必ず死ぬからこそ、仕合せになれるチャンスがあるんだというわけです。

つまり「必ず死んでいく命なんだから、限られた時間を精一杯生きなさい」という作者からのメッセージが込められているのでないのかなぁと思いました。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
4月 12日(金) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
30日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
5月 12日(日) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
27日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
6月 12日(水) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
21日(金) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
7月 11日(木) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(金) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
29日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
8月 12日(月) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(火) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(木) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師