真宗のお寺には、本堂の右(みぎ)余(よ)間(ま)に

「七(しち)高僧(こうそう)」と「聖徳太子」の掛け軸が並んで掛けられています。

これは親鸞聖人が聖徳太子を日本のお釈迦さまだと仰がれ、太子のお徳をとてもお敬(うやま)いになられたからです。

  聖徳太子は女帝の推古(すいこ)天皇(てんのう)の摂政として仏法でもってこの日本を治めようとされました。

 

   よく聞く・さとく聴く耳

  太子には「豊聡耳(とよとみみ)」というお名前があります。よき・さとい耳を持っておられたという意味です。

また一度に8人の訴えを

聞かれたので「八(はち)耳(じ)の王」

ともいわれました。

人々の訴えを正しく理解するためには、私たち人間の心を照らし出すほとけの教えを聴聞しなければならんと、いつも仏法に耳をかたむけられたのでした。

 

 聖徳太子のご生涯において数々のご功績の中で、我が国で初めて十七条の憲法を制定された事でありましょう。

 その「十七条憲法」の第一条に、

  和(やわらぎ)以(もっ)貴(たっと)しと為(な)し、

忤(さから)うこと無(な)きを宗(むね)と為(せ)よ」

とあります。

「平和ということが何よりも尊いことだと知り、争(あらそ)わないことを肝(きも)に銘(めい)ぜよ」という意味です。

これは「平和を愛する国」=「和国」の実現を天下に示したものであり、十七条憲法の根幹をなすものです。

 

 太子の時代から千四百年たった現在でもテロや戦争が絶えることなく、不安におびえる人々がいるのが事実です。

私たちがこの世で生きていく上で、和より大切なものはない。みんなが平和に生活することは、いつの世であっても、願わずにはおれないことです。そういう意味で太子が、「和」ということを憲法の第一条に示されたことに注目したいものです。

 

 聖徳太子制定の憲法の第二条は、

 「篤く三宝を敬え、

三宝とは仏法僧なり」

 「和」ということを実現させるために太子は三宝を敬うことによって、みんなが平和に生きる世界、仏国をめざされたのでした。

三宝とは(仏宝・法宝・僧宝)のことで…

【仏】とは、覚者…悟りを得たものこと、

【法】とは、仏教の教えのこと

【僧】とは僧伽(そうが)の略で仏と法を信奉する人々という意味です。

 

  「それ三宝に帰せずんば、

何を以てか枉(まが)れるを直さむ」

とこの条文の最後にお示しになっています。ここでは三宝に帰依する以外に、己のまがった根性をまっすぐに正すものが他にあろうか? と言い切ります。三宝に帰依し、三宝を敬うことによって、はじめて、和してゆく世界が開かれるのだと断言します。

 

 また、第十条には

 

「十に曰く、心の怒りを絶ち、

面(おもて)の怒りを棄(す)て、

人の違(たが)うことを怒らざれ。

人みな心あり。

心おのおの執るところあり。

是(ぜ)とするときは我は非(ひ)とす。

我是とするときは、彼は非とす。

我必ずしも聖(ひじり)にあらず。

彼必ずしも愚(おろか)にあらず。

共にこれ凡夫ならくのみ」

 

  ここには、我々ともに凡夫であるという仏教の平等思想が貫(つらぬ)かれています。

  人間はどこまでいっても凡夫であり、

自分が正しい、自分が正義と自分をどこまでも肯定したがります。こういうことは、誰も教えてくれません。仏の教えに聴いていくより他ないのです。

そこに気づかない限り、人間はたすからないのだと思われたのでしょう。

 親鸞聖人も

「凡夫というは、欲も多く、怒り、

腹立ち、そねみ、ねたむ心

多く暇なくして、臨終(りんじゅう)の一念に

至るまでとどまらず、

消えず、絶えず」『一念多念文意』

と私たちの本当の姿を教えられています。えらそうなことの言える私でなかったと頭の下がることが「ナムアミダブツ」の「南無」ということなのです。

互いに、「南無」と頭の下がる世界…そこが阿弥陀さまの世界「お浄土」なのです。「俺が正しい、俺が正義」と角を突き合わせていく世界こそ「地獄」なのです。でも、「私がまちがっておりました。あいすいません」と頭が下がることの難しさといったらありません。

それを『正信偈』の中では、

難(なん)中(ちゅう)之(し)難(なん)無(む)過(か)斯(し)

難の中の難、これに過ぎたるはなし

といっています。

聖徳太子のこうした平和への願いは、千四百年後の今日に至るまで、それぞれの時代の人々の心を潤してきました。

  親鸞聖人は、太子の教えがそのままほとけの教えであるといただかれ『皇太子聖徳奉讃』というご和讃をおつくりになりました。

 

  また聖人は、ご自分の人生の中で、転機に立つたびに太子のご示現を仰がれました。そして、聖人は「太子のお導きがなかったら、真宗の教えもなかった」とまで仰っておられます。

 

だから、私たち真宗のご縁にあうものは、この聖人の心を宗(むね)として、太子を仰ぎ、七高僧ともども御影を掲げて、お慕い申し上げているわけです。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2024年(令和6年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
4月 12日(金) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
30日(火) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
5月 12日(日) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
27日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
6月 12日(水) 午後1時 前々住職御命日 法話:戸田 栄信 師
21日(金) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
7月 11日(木) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(金) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
29日(月) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
8月 12日(月) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(火) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(水) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
9月 12日(木) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
10月 12日(土) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
11月 12日(火) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(木) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
2025年(令和7年)
1月 12日(日) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(火) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(水) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(木) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(水) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師