真宗大谷派 因速寺住職
武田定光

「江戸っ子は、五月(さつき)の鯉(こい)の吹き流し、口先ばかりで、はらわたは無し」
 

落語家が古典を語る時に使う枕です。
「江戸っ子は言葉づかいは荒いが、腹には何もなく気持ちはさっぱりしている」
ということらしい。

昔は五月になると、端午(たんご)の節句で、鯉のぼりを上げている家が多かった。
真(ま)鯉(ごい)はお父さん、緋(ひ)鯉(ごい)はお母さん、
小さいのは子どもたちという見立てだ。
 
あの鯉のぼりを見ていて、こういうのが仏教に出遇った人間の理想の形だと思った。
鯉のぼりの鯉の口というのは、大きくあんぐりと空いています。
あれは煩悩で、言いたい放題、やりたい放題の所業を示すわけです。
 

しかし、それだからといって臓物(ぞうもつ)は何もありません。

鯉のぼりのお腹に内臓が詰まっていたら、風になびくことはできません。

何もないからフワフワと空中にたなびけるのです。

そこに風まかせ、縁次第でどうにでもなっていく。

自由な心が暗示されるわけです。

そりゃあ、口喧嘩は、できれば、しないにこしたことはない。

ちょっと仏教を聞きかじった人は、喧嘩はいけないことだと自省する。

自省するということは、鯉のぼりの口を縫いつけて開けないようにすることになるのではないでしょうか。

それでは自由に空にたなびけないではありませんか。

鯉のぼりは屈託なく大喧嘩をするんです。

赤裸々に怒りを爆発するんです。

しかし、そこで完全燃焼するので、後を引かない。

後には何も残らないのです。

お腹が空っぽになっているから、自由にたなびいていられるのです。

【住職のひとこと】

…因みに、涅槃のことをサンスクリットでは、ニルバーナといい、完全燃焼という意味があります。

人生の完全燃焼とは、ブスブス言いたいことも言わず、くすぶっていないで、赤々と燃やし尽くすこと。それこそが涅槃の境地なのでしょう。


今後の行事

日/曜日 時間 内容 備考
2026年(令和8年)
毎月 第1(日) 午前6時半 おはよう講座 毎月 第1 日曜日
1月 第2 日曜日
中止第3(木) 午前10時~午後3時半 福遊会 毎月 第3 木曜日
9月 12日(土) 午後1時 彼岸会 法話:梛野 明仁 師
30日(水) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
10月 12日(月) 午前10時 秋の永代経 法話:戸松 憲仁 住職
午後1時 前住職ご命日 落語:三遊亭兼好
俗曲:桧山うめ吉
22日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
11月 12日(木) 午後1時 開基・中興法要・相続講 法話:未定
12月 12日(土) 午後1時 成道会(お釈迦様の命日) 法話:織田 慶雄 師
10日(木) 午前10時/午後7時半 親鸞教室  
2027年(令和9年)
1月 12日(火) 午後1時 修正会 奉讃会 法話:堀田 護 師
2月 11日(木) 午後2時 こどもほうおんこう「人形劇」 とんがらし
12日(金) 午後1時 報恩講 法話:安藤 伝融 師
13日(土) 午後1時 報恩講 法話:堀田 護 師
3月 12日(金) 午後1時 聖徳 太子会 奉讃会 法話:伊奈 祐諦 師
4月 12日(月) 午後1時 永代経・蓮如忌 法話:小谷香示 師
5月 12日(水) 午後1時 定例・奉賛会・宗祖誕生会 法話:戸田 恵信 師
6月 12日(土) 午後1時 18組 相続講 法話:戸田 栄信 師
7月 11日(日) 午後1時 お盆会 法話:戸松 憲仁 住職
12日(月) 午後1時 お盆会 法話:藤井 義尚 師
8月 12日(木) 午後1時 盂蘭盆会 法話:青木 馨 師
13日(金) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め
14日(土) 午後7時 納骨堂 お盆会 寺内勤め